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Art of Coaching 「人間理解への道」 2022年10月7日(金)189号
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厳しいビジネス環境で、トップリーダーの「問い」の力で再建に成功した企業があります。
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かつて隆盛を誇っていたアメリカの量販店「ベストバイ」は、オンラインビジネスの荒波に足元をすくわれて瀕死の状態となり、起死回生の切り札として、プロ経営者で企業再建に実績のあるユベール・ジョリーをCEOとして迎え入れます。
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ユベールが2012年のCEO就任直前に隠密で立ち寄ったとある店舗は、埃っぽく澱んだ空気に満ちており、店員同士は世間話に忙しく、客が目に入らないようでした。
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しかし、彼のリーダーシップのもと、「ベストバイ」は6年連続の成長を記録。 2019年6月には利益は3倍になり、2012年時点では1桁台にまで落ちようとしていた株価は75ドルに上昇。メディアは「常識破りの快挙」と報じました。店舗は見違えるように明るく、献身的で意欲に満ちた従業員の活気にあふれるようになりました。
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ユベールがその顛末を記した著書「ハート・オブ・ビジネス」で述べているV字回復の決め手は、「何があなたを突き動かしているのか?」という問いです。
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“仕事は自分が生きる意味の探究の一部である”という信念を持っている彼は 社員一人ひとりに、「人生の目的は何か?」、「自分を突き動かしてものは何か?」を考えるように後押しする機会を提供し続けました。
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四半期ごとに幹部で行う合宿のある回では、全員が幼少期の自分の写真を持参し、その頃のことや成長過程の個人的なエピソードを語り・聞く、長い時間を持ちました。 そして、そこにはお互いへの問いがありました。 ・目の前のこの人は、どんな人間なのか? ・どういう歴史を経てこの人になったのか? ・これからどうなりたいと思っているのか? ・生きるエネルギーを何から得ているのか? ・そのエネルギーの源と会社での仕事はどのように繋がっているのか?
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大掛かりな人員削減もせず、事業の切り売りもせず、社員の意識と行動変容から発露する「ヒューマン・マジック」で、常識破りのV字回復を成し遂げた経営者が投げかけていたのは、“コーチの問い”だったように思います。
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発行:株式会社アート・オブ・コーチング 執筆:Art of Coaching 木村 すみこ
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