受講生インタビューVol.1
「企業のマネジメント層の方に、ぜひ受けて欲しい」
糠野 博一さん
(Sora1期・コンサルタント・東京在住)

Q.
糠野さんのキャリアを聞かせてください。
A.
大学卒業後すぐは、大手外資系企業に入社しました。そこで14年間勤めた後、医療機器の会社に転職しました。そこも21年勤めた後、別の会社に引き抜かれたのですが、現在は独立し、教育関係の会社を経営しています。
Q.
会社にお勤めの頃、どんな職種を経験されたのですか?
A.
最初の会社では財務を担当しました。次の会社も最初のうちは財務でしたが、後に開発部門や生産部門など、色々な部署を経験しました。
Q.
初めてコーチングという言葉を聞いたのは、いつ頃ですか?
A.
2014年、コーチングクラブという勉強会に参加したのが初めてです。その時に、赤木さんともお会いしました。
Q.
あれが最初だったんですね。そのあとコーチングに興味を持っていただき、Art of Coaching(以下、AOC)を受講されるきっかけとなった説明会に参加くださったんですよね。
ちなみに説明会はどんな印象でしたか?
A.
それまでコーチングに対する印象は受容的でしたし、赤木さんにもそんな印象を持っていました。しかし、説明会の講師の山崎さんは断定的にものを言う人だったので、驚きました。それと同時に、もう少し深く知ってみたいなと思いました。
Q.
どんなことを知ってみたいと思ったのですか?
A.
山崎さんがなぜそこまで断定的にものが言えるのかな、どこからそういう自信を持てるのか・・・そういうところですね。
元々、野球のコーチのように捉えていたコーチングが、コーチングクラブに入り、そうでもないことが分かったのですが、山崎さんに会って、またコーチングの印象が変わりました。
これって一体、何なんだろう? 分からなくなりました。それでAOCに参加することにしたのです。
Q.
そうだったんですね。そして、ステージ1のDaichiを受講されましたが、どんな体験や気づきがありましたか?
A.
その時はまだ勤め人でして、会社でちょっとしたトラブルがあったのです。
そのトラブルのことを考えれば考えるほど自己中心的になるばかりで、袋小路に入っていました。
ステージ1の3日間の集合研修で、お互いにコーチングを練習するなかで、ある種、客観的に現場のやり取りを見ることができるようになりました。
自分のそういう気持ち、例えばなぜここで怒りが湧いてくるのだろうか?
自分が働きかけたことに対して、なぜ相手がそう反応するのか?
それに対して、なぜ自分がこう反応し返すのか?
自分を上から見たり、自分の感情と距離を置いて、なぜ自分はそこで怒りが生じたのか。
そういったことをすごく考えるきっかけになりました。
Q.
自分を俯瞰的に観れるようになったということですか?
A.
そうですね。あとステージ1で良かったなという体験は他にもあります。
集合研修では30人の人が一堂に介して、一緒の時間を過ごすじゃないですか。
色々な人と話していて、自分だけがそういった悩みや考えを持ってるわけではない、他の人も同様に持っているんだなということもわかりました。
あと、どんな時に自分は怒るのか?
怒る程度というのを大中小で表したらどうなのか?
その怒りというのはどれぐらい持続するのか?
それを観察してくるという、たしか、赤木さんから出された課題だったと思うのですが。
Q.
ええ、そうです。
A.
あれはすごく有益でしたね。怒りかどんなところから来るのかに気づくことは、とても大事だと思います。
それがどれぐらい続くのかということを知ってると、同じような状況で同じような怒りが来たら、この怒りはこれくらいで収まるだろうと目処がたちます。
これが分かっていれば、同じような状況で怒りが出てきても、怒りを客観的に見るようになりました。
「あ、また来た」みたいな感じになるので、自分の気持ちをマネージできます。
コントロールではなく、自然に収まるのを待つことができるというか。
そんな感じがつかめたのは、Daichi(ステージ1)、そして続くUmi(ステージ2)の9日間が大きかったですね
Q.
なるほど、そうやって客観的に俯瞰的に見ることで、感情をマネージするのができるようになったと。
A.
そんな感じです。
Q.
先ほども話がでましたが、続くUmi(ステージ2)はどんな体験でしたか?
A.
AOCを受け始めた頃は、コーチングの練習で当たり障りのないことを話していましたが、次第に本質的な課題について話をせざる得ないような感じになってきました。
最初は自分の弱い部分や汚い部分を人に知られたくない、そういう気持ちがありましたが、だんだんと「別に言ってもいいや、自分の恥ずかしい部分を見てもらってもいいや」と思えるようになりました。
それは、コーチングを勉強している人たちの間だけでなく、普段の日常生活でも、自分が隠していた部分を表に出すことに対する抵抗は随分なくなりましたね。
Q.
人とのコミュニケーションが、楽になったのではないですか?
A.
自分がそういうことを言っても受け入れられるもんだなあと。何か、固い蓋が取れたみたいな感じですね。
ステージ1が始まった頃は、どこの誰かも分からない人に対して、自分の悩んでいることはなかなか言えないと思っていました。
集合研修を通して、一体感と言うか、自分と同じ思いを持つ人なんだなぁというのが、理性ではなく感覚的にわかり、身を委ねるようになったからですね。
Q.
その後、Sora(ステージ3)に進まれましたが、ここでは自分自身が学ぶだけではなく、実際にコーチングを他者に対して提供していくステップになりますが、そこでの体験や気づきはどうでしたか?
A.
コーチングが何か?ということを基本的に知らない人に対してもコーチングをしなければならないので、最初は不安がありました。
Q.
不安が最初はあったということですが、続ける中でどんな気づきがありましたか?
A.
Soraの期間中、6人の人にコーチングをしました。
その時に気づいたのは、コーチングセッションをするにはやはり、そのクライアントのことをよく理解しないといけないということ。
もう一つは、自分の中で最初からアジェンダを持っていたらダメだということ。この2つです。
Q.
自分のなかでアジェンダを持たないとは、どういうことですか?
A.
コーチが誘導してはいけないし、先入観を持たないほうがいいということです。
あとは、フィードバックも大事ですよね。
クライアントが直視して取り組まないといけない課題をコーチが感じたときは、
「これって、そこ見ないといけないんじゃないの?」そう言わないとダメですね。
Q.
躊躇はあっても、言うべきことは言って、クライアントに向き合ってきたんですね。
そういう意味では、DaichiからUmi、Soraと続くAOCでの一年間の学びを通して、糠野さんご自身にはどんな変化をありましたか?
A.
やはり自分のことを理解したということですね。自分が課題に直面した時に、どんな心の動きになるのだろうかと客観的に見るようになりました。
また自分がクライアントの話を聞くときに、そのクライアントに対峙してる自分の気持ちも客観的に見えるようになったし、それも成果ですね。
2つ目は自分の隠したいことを共有する、そのことに対しての敷居が下がりました。3つ目は、相手の話をよく聞けるようになりましたね。
Q.
話をよく聞けるようになっただけではなく、言葉になっていないものまで聞けるようになったのでしょうか?
A.
それはそうですね。知り合いに第六感がすごく働く方がいるのですが、その方の前に何気なく座ったとき、開口一番、自分のことを聞いてくれるオーラが出てますねと言われました。
Q.
今後の糠野さんのビジョンを聞かせてもらえますか?
A.
去年の12月に会社を辞め、教育に関する事業を自ら始めることにしました。
ビジネスのための実用的なツールや型を身につけること、そしてコーチングのような心の体力をつけること、この両輪に働きかけていきたいですね。
Q.
どのような方々が対象になりますか?
A.
企業のミドルマネジメントから上の方たちです。
Q.
上級管理職ですね。その方々にどうなってほしいですか?
A.
自分が本当に求めているものに対して、進んで行ってほしいですね。
基本的に私は外資系の会社にいたので、日本の会社に比べると随分自由な環境でした。
日本の会社の人達と話していると、すごく抑圧されてる感じがします。
今は日本の企業も終身雇用制というのは名ばかりで、大手の会社でもリストラはあります。
忠誠を尽くしても、会社は何とも思っていないこともある。
彼らが本当に自分のやりたいことと向き合って、見つけて、何か気づきをもたらすことができたらと思っています。
だからと言って、別に会社を辞めるということを勧めてはいません。勤めながらでもできることもたくさんありますから。
Q.
最後に、AOCを受講したらいいと思うのはどういう方々ですか?
A.
自分の人生に対して、本当にこれでいいのかなぁとちょっと迷っている人や、分からなくなっている人が受けるといいと思います。
Q.
そういう方が受けられるとどう変化すると思いますか?
A.
まずは自分のことについて理解が進むと思います。自分への理解はすごく大事で、そこから次のステップが見えてきますから。
Q.
企業のマネジメント層の方々が受講されたら、どういう体験になるでしょうか?
A.
そういう人たちはいわゆる価値観に囲まれている人たちです。その価値観から解き放たれる機会があるかもしれませんね。
また、価値観に囲まれていることが分かった上で、引き続きその価値観の中で生き続けるパターンもあるでしょう。どちらでもいいと思います。
あえてその価値観に身を委ねてもいいんじゃないのと思えるならば、それはそれで大きな気づきでしょう。
糠野 博一さんプロフィール
1957年生まれ。 同志社大学商学部卒業後、1981年、プロクターアンドギャンブルサンホーム株式会社に入社。財務・経理・経営計画・工場経理・財務システムを歴任。 1995年松本医科器械(Strykerの前身)に転職し、Controller・IT・管理本部長・サプライチェーン担当取締役・マーケティング担当取締役・製品開発担当取締役・CFO・薬事品質保証担当取締役・オペレーション担当取締役・製造研究開発担当事業所長を歴任。 2016年から株式会社コスモ・ピーアールでManaging Directorを務めた後、2018年にコンサルタントとして独立。
ミシガン大学ビジネススクール Strategic Marketing Planning修了(2000年)
ハーバードビジネススクール Stryker Advanced Leadership Academy Program修了(2005年)
Dale Carnegie Course INC-DCC-38修了(2011年)
Art of Coating修了(2017年)